個人が小ロットでオリジナルネックストラップを作りたいとき
オリジナルネックストラップを個人で少量だけ作成したいけど、ほとんどの印刷業者が企業向けの大ロット生産になってしまい困る方も多いと思います。そこで、この記事では、個人が小ロットでオリジナルネックストラップを作る前に知っておきたい、大ロットと小ロットの違いや、小ロットだと、どのようなネックストラップが作成できるのか紹介します。
ネックストラップの小ロット生産とは?
ロット生産とは同じ製品を、一度に生産する際の数量単位を示します。数が多いと大ロット、数が少ないと小ロットといった使い方をします。ロット生産には最小ロットがあり、最小で受注できる数量を意味します。例えば最小ロットが20本の場合、1回の最低注文数が20本以上なら生産可能です。
ネックストラップ印刷業界における小ロットの数量は20本~30本が目安になっています。なかには1本から受付できる国内生産が可能な印刷業者もあり、短納期が可能ですが、1本あたりの単価は、版代金や人件費などのコストがかかるので高くなります。
個人の方がネックストラップを小ロットで生産する使用方法として、小売りの販売品、同人イベントグッズ、高くても少量欲しいサークルの記念グッズなどがあげられます。
なぜ小ロットに対応している業者が少ないのか?
ネックストラップ印刷会社の多くは、生産の最小ロットを100本からとしていますが、その理由は、企業などの団体が販促品として、同一デザインをまとまった数量で発注することが多いからです。企業からの発注はコストを抑えることも重要なポイントになるので、海外の工場で生産している印刷業者が多く、ジェイアンドシーサプライも中国広東省に自社工場で生産しています。
一度にまとまった数量を生産する、つまり大ロット生産にすることで、材料費、人件費、光熱費などを抑えられます。また、同じ製造ラインでまとめて生産することで、印刷の色見などを一定に維持でき、品質の均一化につながります。
逆に小ロットで生産する場合、かかる時間や手間は大ロット生産時とそれほど変わらないにも関わらず受注金額が小さいため、1本あたりのコストが高くなってしまいます。このような理由から、小ロットで対応している業者が少ないと考えられます。
大ロット生産の場合との違い
大ロットと小ロットの違いを、納期、単価、生産場所で比べてみましょう。
納期は、生産数量の多いぶん、大ロットの方が小ロットよりも長くなります。オリジナルネックストラップをシルクスクリーン印刷で生産した場合、大ロット(100本)の納期は10~25営業日ですが、小ロット(20本)の納期は2~5営業日で納品可能な印刷業者もあります。
単価は大ロット100本だと1本あたりの単価が370~430円、小ロット20本だと1本あたりの単価が540円~800円なので、大ロットの単価の方が大幅に安くなります。大量生産は工場の生産性が高く、発注対応の時間も削減できるので単価が下げることができます。
生産場所は大ロットだと海外を拠点とした工場で生産するのが一般的です。工場の土地代金や設備、人件費を考えた場合、日本よりも海外の方がコストをおさえることができるからです。反対に、小ロットのように数量が少ない場合は国内生産になります。少数のネックストラップを海外で生産しても納期が長くなり、単価も高くなるのでメリットがないからです。
小ロット生産時に使われるネックストラップの素材
ネックストラップの紐によく使われる素材には、ポリエステルとナイロンがあります。どちらも石油を原料として作られている合成繊維です。
小ロット生産で使われるネックストラップの素材として、ポリエステルを採用する業者が多くみられます。原料価格がナイロンより安く仕入れることが可能なため、少数のストラップ生産でも単価をおさえることができるからです。ポリエステルは世界でもっとも生産量の多い繊維で、エコバッグやブルゾンなどアパレル商品でよく使用されており、シワになりにくい耐久性と、水にぬれても乾きやすい速乾性の高さが魅力です。
ポリエステルをタテ糸とヨコ糸を交互に織り込んで、平織りネックストラップを作成します。非常に軽く、丈夫で型崩れしにくいことから、日常的に使用するネックストラップの素材には最適です。やわらかい生地なので長時間使用しても首への負担を軽減できます。
小ロット生産時の印刷方法
ネックストラップの印刷方法は、おもにシルク印刷と昇華転写があります。小ロット生産時にはシルク印刷を選ぶ印刷業者が多くみられます。
シルクスクリーン印刷とは、版の布をピンとはって、網目状になった所にヘラでインクを押し付けて色付けする方法です。ロゴや文字などのシンプルなデザインのベタ印刷に適していおり、インクを厚く塗布できるので耐候性に優れています。印刷機は使用せずに通常は色ごとに版を作成して手作業で生産します。そのため、小ロットだと作業時間がかからないぶん短納期での納品が可能です。色数は1色か2色で対応している印刷業者が多いので、版代金の負担を減らした安価で提供できるのも小ロットで生産する時に選ばれる理由といえます。
昇華転写は、特殊なフィルムにオリジナルデザインを印刷し、ストラップに熱で転写させて印刷する方法です。フルカラー印刷が可能で、印刷したデザインの色見が剥がれにくく、グラデーションや写真などの印刷が可能です。フィルムを使用するので版代金がかからず安価で作成できますが、作業工程が多いぶん、ロット数を100本からとする印刷業者が多いため、個人向けの小ロット生産には向いていません。
まとめ
オリジナルネックストラップの小ロット生産は、1本あたりの生産コストは高くなりますが、在庫を抱えるリスクをなくし、短納期で多くの種類を作成できるメリットがあります。サンプルや受注生産用の見本として、小ロットでオリジナルネックストラップを作りたいる時は、大ロットと小ロットの費用や素材、印刷方法の違いをしっかり理解して、お気に入りのオリジナルネックストラップを作成してくださいね。